ペンギンの飛び方

本を読んだりニュースを見たりして考えたことを、自由に書いていきたいと思います。

「共同体の罪」に対する責任と「歴史修正主義」

小池都知事の最近の言動や、8月に放送されたNHKスペシャルの影響もあってか、過去の歴史と、現在を生きる私たちとの関係、あるいはそれに対して私たちが持つ責任などの議論に再び注目が集まっています。 今回の記事ではこのような議論に関連して、「共同体の…

NHKの日米トップに対する報道の違い(ミサイル発射とハリケーン被害に関して)

このブログでは過去に何回か、(政治に関する)報道における「アクター中心主義」の問題について論じてきました。 human921.hatenablog.com human921.hatenablog.com 報道における「アクター中心主義」とは、僕が勝手に作った造語で、簡潔に言えば、 1 人物…

『ハクソーリッジ』と『小さな抵抗』

※映画のストーリーに関しての記述があります。 先日、映画『ハクソーリッジ』を見てきました。 沖縄戦において敬虔なキリスト教徒としての立場から戦場においても人を殺さず、それどころか武器すら持たずに衛生兵として数多くの兵士の命を救った、実話を基に…

「日本スゴイ」の時代比較

過去の記事では、近年のいわゆる「日本スゴイ」言説を、社会心理学(的な)観点から論じてみました。 それによれば、「日本スゴイ」という言説には、「内集団バイアス」と「黒い羊効果」という一見矛盾するようなロジックが内包されていたのでした。 詳しい…

政治とクリシェ

www.asahi.com 最近、政治におけるクリシェ(常套句)の存在が再び注目を集めています。 「お役所言葉」という言葉もあるように、そもそも政治とクリシェは切っても切れない関係にあるのかもしれません。 しかし、このところ見られるそれは、実のところ単に…

「駆け引き報道」と「抱負報道」

前回の記事では、僕は報道における「アクター中心主義」という概念を提起しました。 「アクター中心主義」とは、「対象の『人物』が現在、何を言ったのか、しているのかについてを中心に報道(ニュース)番組を構成すること」を意味し、換言すれば、「ニュー…

報道における「アクター中心主義」

現在、環境が変わり日常的にテレビのニュースを見ることができる状態にあります。そこで自分が気になったある報道の形態を、ここで備忘録的に書いておきたいと思います。 その報道形態というのが、タイトルにある「アクター中心主義」です。僕はメディア関係…

「日本スゴイ」と「内集団バイアス」

現在様々なメディアで取り上げられることの多いこの「日本スゴイ」という言説。各所で語られてる話題ですが、今回の記事ではこの件を、社会心理学的な観点から考えてみたいと思います。 僕が見るにこれらの言説には、大きく2種類のものがあるように思います…

差別と「社会的距離」

トランプ大統領が誕生したことで、以前にも増して注目が集まっている差別問題、人種問題ですが、今回の記事では、これらの問題と密接に関わる「社会的距離(Social Distance)」について考えてみたいと思います。 「社会的距離」とは、個人や集団間の親近、…

フェイクニュースサイトの2類型

www.buzzfeed.com このbuzzfeedさんの記事を見て、少し前から考えていたことを書こうと思います。それは、フェイクニュース(サイト)の形態についてです。2つあります。 「breitbart」型 まず、buzzfeedさんの記事で取り上げられているようなフェイクニュ…

「本音」の矛先が自分に向かうとき

過去の記事ではトランプさんの当選を出発点に、インターネットと政治と本音の関係について論じました。その最後の部分で、僕は次のようなことを書きました。 ここ日本でも、政治において(インターネット発の)「本音」は力を持ち始めています。 思えば、こ…

「Post-Truth」時代の情報との向き合い方(インターネット版)

オックスフォード大出版局が選出した今年の英単語が「Post-Truth」だったということで、日本でもにわかにこの単語が注目を集めています。 さて、この「Post-Truth」ですが、この言葉の意味する「客観的な事実や真実が重視されず、真実のように感じられること…

「本音」と政治とインターネット

アメリカの次期大統領がトランプさんに決定しました。 今回の結果については、専門家の方々が詳細な分析をするはずで、遠い国の出来事でもあるので僕なんかが特別何か言うことなんて無いんですが、つい最近「インターネットと本音」についての記事を書き、そ…

電車内での化粧と「儀礼的無関心」

最近の記事ではゴフマンを何度か取り上げましたが、先日電車内での化粧についての記事を見かけたので、前々から書いておこうと思っていたこれら電車内でのマナーについて、ゴフマンの「儀礼的無関心」と絡めながら考えてみたいと思います。 anond.hatelabo.j…

公共の場における「萌え絵」と「文明化」

ここ最近再び公共の場におけるいわゆる「萌え絵」の存在についていろんな議論が交わされてますね。 今回は何か個別の問題に対して何か解決策を考えてみるというわけではなく、一つの観点から見た「萌え絵」問題の枠組みを一度俯瞰してみたいと思います。 僕…

「本音」の場としてのインターネット

前回の記事では、インターネットが「表舞台」の「リアル」に対して、「舞台裏」(陰口の領域)的な役割を担っているのではないかと書きました。 そしてインターネットを舞台裏とした場合、表舞台よりも舞台裏のほうが多くの人の目に触れ、露出度が高いという…

Twitterにおけるコミュニケーションについて

先日Twitterで、このようなハッシュタグがトレンドに上っていました。 「#オブラートにブスと伝えよう」 (このタグの文法上のおかしさはとりあえず措いておきます。) このような文言がTwitterというネットサービスの中では大衆性の高い領域で数多く言及さ…

色々な「Make America Great Again」の派生系

アメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏の掲げる公式スローガン 「Make America Great Again」は、彼の高いメディア露出もあいまって、非常に有名なフレーズとなりました。(ただ、最初に使用したのはレーガン大統領だそうですが) 今回はそこで…

「好きでいてほしい国」と「嫌いでいてほしい国」

今回は過去の記事で扱ったYouTubeのサジェスト比較について自分なりの考察を加えてみたいと思います。 考察対象として、当記事では過去記事で挙げたサジェストの中でも「日中韓露」に的を絞ってみたいと思います。 というわけで過去記事から一部を貼り付けま…

インターネット・ミームと「想像の共同体」

インターネットでは数多くのミームが生み出されてきました。 その中にはそれが生み出された背景や文脈を深く理解しないと意味が全く分からないものもあり、そのようなミームを多用し、一見何を話しているのか分からない会話を繰り広げ、ひとつの文化圏を作り…

太平洋戦争におけるアメリカの日本人像と現在

今回は少し重いテーマを扱ってみようと思います。 太平洋戦争では日米両方の陣営が相手国民への敵愾心をあおるために、多様なプロパガンダ戦略を展開したことはよく知られています。 アメリカの歴史学者で『敗北を抱きしめて』でも有名なジョン・ダワーは、…

平和なコメント欄の作り方

近年ニュースサイトのコメント欄は世界的に廃止傾向にあります。 wired.jp 「ウェブ人口の増加により節度を保つことが難しくなったから」というのがその理由だそうです。 とはいえ、日本では依然として多くのニュースサイトでコメント欄は存続していますし、…

ノルベルト・エリアスと「互助会ブコメ」

ここ1年ほど、ブログ間でブックマークを付け合ういわゆる「互助会」という組織?が話題になっていますね。 調べたところどうやらこの「互助会」は、より多くのPV数、あるいはそこから派生するブログ収入を稼ぐために、お互いにブックマークを融通しあってホ…

火事場泥棒はなぜ「外」からやってくる

こんにちはhuman921です。 digital.asahi.com 今回の熊本での地震、ネット上ではいくつかの流言飛語が流れ、その中には、目を覆いたくなるようなものもありました。 その中には被災地における犯罪に関して、何の根拠も無い流言もありました。 そのような状況…

保育園の騒音問題と米軍基地問題

こんにちはhuman921です。 今回は下記事とそれについたコメントを読み、考えたことを少し書きたいと思います。 mainichi.jp 普段のこのブログであれば、昔は保育園の騒音は問題にならなかったのか、そうであるならばなぜ今は問題となるのかという疑問につい…

YouTubeにおける「○○」(←国名)と「○○人」のサジェスト比較:日米台露中韓

こんにちはhuman921です。 こないだのシノドスさんの記事に触発されて、以前から少しその結果に興味があったことをやってみました。 とりあえずデータとして貼り付けてみます。 すべて2016年4月5日の検索結果です。(なお、最初のワードの後にはスペースを空…

「黒人差別的なもの」と「ユダヤ人差別的なもの」の融合

こんにちはhuman921です。 シノドスさんのこの記事を見て、 synodos.jp 思うことがあったのでこのエントリーを書くことにしました。 シノドスさんのこの記事では、「古いレイシズム」と「新しいレイシズム」という言葉が出てきます。 前者は対象集団の劣等性…

「人類vsAI」はなぜ熱くなる

こんにちはhuman921です。 ここ数日、googleの人工知能の技術を駆使したらしい囲碁ソフト「AlphaGo」と、 韓国の世界最強レベルの棋士イ・セドルさんとの世紀の対局が盛り上がっていますね。 僕自身は囲碁も人工知能についても全く疎いのですが、先日のセド…

「デモ」と「他人の怒り」を見ることの困難さ

こんにちはhuman921です。 今回は前回の記事 human921.hatenablog.com の続きで、ある問題について、 「同じ考え、不満を持ち、それに賛同、共感していたのに、それを改善しようと実際に行動を起こすと冷める人が出てくる」 という現象に何らかの説明ができ…

デモはなぜ「冷める」

こんにちはhuman921です。 こないだこの記事のブックマークコメントを見て少し疑問に感じたことがありました。 b.hatena.ne.jp それというのが、 「なぜネット上であれほど賛同・共感が集まった匿名の投稿であったのにもかかわらず、いざ匿名から飛び出して…